iTunes Music Store オープン!

8月6日のApple Store Shibuya(アップルストア渋谷)のオープンにあわせて来日しているスティーブ・ジョブズCEOが発表した。
既に米国を始め、多くの国で行われていた音楽配信サービスだが、日本では音楽著作物の問題などで、なかなか実現に至らなかった。つい先頃、最大手であるavex group(エイベックス・グループ)はiTunes Music Storeに楽曲を提供する事を発表した。しかし、多くの音楽提供元が、売上に多大な影響を受けるとして、なかなか賛同しないのが現実だ。一説には米国での音楽リソースの売上の8割程度が、iTunes Music Storeによるモノとも言われている。もちろん、単にCD等の販売が減ったのではなく、気軽にアルバム位から、安価に購入できるという事から、業界全体的な売上が向上しているとは思われる。

米国ではほとんどの曲が一曲につき$0.99で(まあ100円感覚ですな)、アルバムが例外を除き$9.99である。
日本ではどうかというと、一部の曲が¥200で約9割の曲が¥150と設定された。新曲や人気曲と少し差別化を図ったのだろうが、ここ数日は¥111/$台で推移している為替レートから考えれば、かなりの割高感が感じられる。アルバムに至っても¥1,500〜¥2,000であり、¥1,500であるのはほとんどが洋楽であるのに対し、邦楽の場合は¥1,800〜¥2,000がほとんどである。2倍弱の設定だ。

ダウンロードできる音楽ファイルはAAC(Advanced Audio Coding )エンコードでここ数年普及してきたMP3よりも高品質である。私も所持するCDからiTunesに音楽を取り込む際はAACのピットレート128kbps、サンプリングレート44.1kHz(iTunesのデフォルト設定)としているが、私の感覚ではCDの音質にほとんど劣らない(正確に言えば、ホンのすこ〜し劣化を感じない事もないがまず気になるものではない)。それでいてファイルサイズは約1/8〜1/10程度となる。
ただ、最近の流行の音楽やミュージシャン、これまでの定番などは結構揃っているのだが、私が良く聞くのは洋楽で、それも流行は追わない。そういった場合、欲しいモノを探そうとすると、全く無いのだ。公式には約100万曲をリリースしているとの事ではあるが、現在のラインナップを見ると、明らかにそうではない気がする。シングル、アルバムともトップ100をブラウズできるのだが、単に流行だけとは思えない、妙なランキングになっていると思うのは私だけだろうか?(^_^;)

例えば、8月2日にFaith Hill(フェイス・ヒル)がニューアルバムFireflies(ファイアフライズ)をリリースした。これは現在米国のiTunes Music Storeではトップセールスとなっている。ところが、iTunes Music Store Japanでは、これが見あたらない。国内リリースが8月17日であるからかもしれないが。いや、フェイス・ヒル自体が存在しないのだ。Warner Bros.を取り扱わないという事か?個人的にはこれでかなり興醒めとなった。
このように人によっては、現状では全く利用価値のないモノとなってしまうかもしれない。私もその一人だ。iTunesからは各国のストアをブラウズは出来るものの、日本国内の利用者はiTunes Music Store Japanしか利用できないのだ。

とは言え、気軽に、安価に購入でき、そしてこれだけiPodが売れている。
大きいのはiTunes、iPod共にWindowsユーザーにも提供されている事。「ハロー効果」という現象を生み出し、多大な売上を上げている。それこそ最近のPC利用者はこれらがApple製品だと知らない人も多いかもしれない。
様々なサードパーティから、iPod関連のグッズが販売され、今や高級ブランドでさえケースなどを販売している。さらにはBMWから始まり、多くの自動車メーカーがiPodを車載できるオーディオインターフェースを搭載し始めた。つい最近は日産をはじめとした国内メーカーもこれを発表している。

iTunesは直感的に操作しやすい、非常に素晴らしいアプリケーションだ。前述の高品質なエンコーディングだけではなく、ミュージックストアのブラウズも使いやすい。また、アルバム・ジャケットなどをアートワークとして取り込める機能など、細かい機能も充実している。このアートワークはiPodに取り込んだ際に液晶ディスプレイに表示されるのだ。

ここ数年普及してきたMP3プレーヤーは落ち込み、ますます、iPodの売上に拍車が掛かるかもしれない。ソニーなどが類似商品、類似サービスで対抗しているが、相変わらずの独自エンコードの採用など、一人勝ちを狙った製品作りの印象をぬぐえない。
今回はAppleのマーケティングの勝利なのではないだろうか。今AppleはMacintoshのメーカーと言うより、音楽配信メーカーのトップとなってしまっている。

関連記事

アップル、iTMSを日本で開始ーー100万曲・中心価格150円でスタート(iTmedia LifeStyle)
ジョブズ氏来日??「iTMS-Jは日本のためにつくられた」(iTmedia LifeStyle)
アップルの音楽配信サービスがついに開始--100万曲が1曲150円から(CNET Japan)
iTunes Music Store、日本での準備は100点満点−フィリップ・シラー上席副社長、日本での勝算を語る(AV Watch)
エイベックス、iTunes Music Storeに楽曲提供を決定−Appleの100%子会社「アイチューンズ株式会社」と最終合意(AV Watch)
売れ筋ランキング - AppleとSONYのランキング争いが更にヒートアップ!(MYCOM PC WEB)